バードストライク

バードストライク(野鳥の人工物への衝突)は、飛行機や風力発電の風車への衝突がよく知られていますが、私たちの身近でも起こっています。家や車の窓ガラス、電線などへの衝突被害があり、午前中や夕方に多く見られます。また人工物に慣れていない若い個体や渡り鳥の被害が多い傾向があります。
私たちにできること
~窓ガラスへの対策!~
窓ガラスへの衝突は、反射して外の景色が映り込み、景色が続いているように見えること、透明度が高すぎて何もないように見えることから生じます。以下のような対策を講じて、障害物があることを鳥に認識さ せましょう。
・模様の入ったガラスフィルムを張る ・すりガラスにする ・カーテンを閉じる
屋外ネコによる被害

屋外にいるネコによって、様々な野生生物が捕食などの被害にあっています。屋外にいるネコとは、人の手を離れて完全に野生化したノネコから、家と外を自由に行き来できる放し飼いネコ、地域ネコや野良ネコも含まれます。ネコは優秀なハンターとして知られ、世界と日本の侵略的外来種ワースト100に選定されています。アメリ カ本土では年間13億~40億羽、中国では7億~55億羽の野鳥がネコの被害で死亡しているという推定もあります。
日本でも奄美大島や沖縄本島などで屋外ネコ問題がよく知られていますが、島だけで起きている問題ではありません。襲われた野鳥はその場では命を落とさずに野鳥病院に運び込まれたとしても、ネコの口腔内は細菌が多く歯が細長いため傷が深くなりやすいことから、感染症で死に至ることも少なくありません。またネコの被害に遭うのは野鳥だけでなく、小型哺乳類や爬虫類・両生類、昆虫など様々な野生生物が影響を受けています。
私たちにできること
~外に出さないで!完全室内飼育~
屋外にいるネコに襲われる野生生物の被害を無くすために、どのようなネコであっても外に出さないことが大切です。完全室内飼育を徹底しましょう。また安易に飼い始めないこと、産ませないようにすることも大切です。


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ネコのためにも
屋外で活動しているネコは、常に交通事故や感染症のリスクにさらされます。屋外のネコは室内飼育のネコよりも短命であることがわかっており、ネコのためにも安全な室内で飼育しましょう。
ネズミ捕り粘着シート

屋外に設置されたものや、屋内であっても野鳥の入り込める場所に設置された粘着シートには、野鳥がかかる危険性があります。またネズミがかかった粘着シートを一時的にでも野外に置いてしまうと、それを狙って肉食のフクロウの仲間やモズなどがかかってしまう恐れがあります。
私たちにできること
~外に置かないで!~
粘着シートを外に設置しない、一時的にでも外に放置しないようにしましょう。また屋内でも野鳥が入り込める隙間がないかしっかり確認することが大切です。粘着シート以外の選択肢として、カゴ罠も考えてみてください。
万が一野鳥が粘着シートにかかってしまった場合、無理に剥がすと骨折などの大きな怪我につながったり、油を多用して剥がすと体温維持機能が低下する可能性があります。ご自身で無理をなさらずに、お住まいの都道府県や鳥獣保護施設などに連絡して指示を仰いでください。
巣立ちビナの誤認保護

子育ての時期になると「ヒナが巣から落ちている」 「一 羽で親とはぐれている」などのお問い合わせがあります。巣立ったばかりのヒナは、まだ上手に飛ぶことができません。飛ぶ練習をしながら親鳥から餌をもらったり、様々なことを教わったりして成長していきます。この時に人間が勘違いして保護(誤認保護)することは、誘拐・拉致になってしまいます。保護されたヒナに対して餌を与えれば体を大きくすることはできますが、野生での生き方は人間に教えられることではなく、野生に返したとしても生き残れるかどうかはわかりません。
私たちにできること
~親鳥に任せるのが一番いい!~
巣立ちビナの場合、心配する気持ちはわかりますが怪我をしているようでなければそのままにしておいてください。近くに親鳥がいるはずです。もしヒナがいた場所が人や車の通りが多い危険な場所だった場合は、茂みの中や街路樹の枝の上など近くの安全な場所に移動してあげてもいいでしょう。そして近くに人がいると親鳥が警戒して近寄ってこないので、その場を離れてください。
巣内ビナの場合でも、巣があれば巣に戻してください。人間が親の代わりになるのではなく、本当の親に育ててもらうのが一番です。
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そのままにしておいて問題ない巣立ちビナ ここまで大きくなっていれば大丈夫!
釣り針・釣り糸

野外に捨てられた釣り針や釣り糸が嘴に絡まって餌を食べられなくなり、餓死してしまうことがあります。また翼や脚に絡まった部分が徐々に締まり血が通わなくなって腐り落ちたり、糸が長くぶら下がっていた場合は電線や樹木に引っかかり身動きが取れなくなることもあります。脚や嘴に絡まっている場合は飛べるため捕獲が難しく、手出しができない場合があります。
私たちにできること
~ゴミを捨てないで!~
糸が切れて回収不可能になってしまうことを見越して道具を選びましょう。糸について既に鳥に絡まってしまったものは間に合いませんが、生分解性の糸を使用すれば、鳥に絡まる前に分解されるかもしれません。返しのない針を使用すれば、通常の針より外れやすいでし ょう。
餌やり

野生生物への餌やりにより人慣れしてしまうと、行動が変化し、野鳥に限らず様々な野生動物と人間の双方に悪影響をもたらします。人獣共通感染症や農作物への食害、ゴミあさり、交通事故の増加などは大きな社会問題となります。その結果、駆除など不幸な結末に繋がる可能性があります。
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感染症の拡大
感染症の拡大は特に野鳥において注意が必要です。餌やりによって特定の種が局地的に集合してしまうと、感染症の蔓延、集団感染のリスクが高まります。国内では餌やりが関連した高病原性鳥インフルエンザ、サルモネラ感染症、鳥ポックスウイルス感染症などによる野鳥の大量死の例があります。
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栄養失調など
カルガモのヒナに継続的に餌やりをしていた影響で栄養失調となり、発育不全に陥った個体が野鳥病院に入所したことがありました。野鳥はそれぞれの種の特性に合った様々なものを食べて生活しています。餌やりをして人間の食べ物を与えてしまうと、それに依存して栄養が偏り体調を崩す可能性があります。また免疫力が下がると感染症の発症や重症化のリスクが高まります。
私たちにできること
~餌をあげないで!~
かわいくても、かわいそうでも、餌をあげないでください。目の前で起こっていることだけでなく、その結果どうなるか、この先どうなるかを考えて行動しましょう。
参考文献など
●参考文献
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●写真提供(敬称略、アルファベット順)
三橋陽子、宮田潤一、中村麻衣(あいねすと(市川市行徳野鳥観察舎))、佐藤達夫、山本博樹


















